こんにちは、Re.muse(@remuseordersuit)です。

ここ数年の静かなオーダーメイドスーツのブームの中で、それに伴ってメンズコートのオーダーメイドも徐々に増えつつあります。コートのオーダーメイドを注文するにあたって失敗しないための、種類や選び方のコツと周辺情報を解説します。

まずは知っておきたいメンズコートの種類

そもそもメンズコートの種類はどのようなものがあるのでしょうか?基本的な部分から確認していきましょう。

コートの定番 チェスターコート

『チェスターコート』はコートの中でも最も定番と言ってよいアイテムです。正しくは『チェスターフィールドコート』と呼びます。見た目に関してはフロックコートに近いデザインです。

19世紀にイギリスのチェスターフィールド伯爵が初めて着用したので、その名が冠されたと言われています。フォーマルコートとして、礼装着用時にそのうえに羽織るのに最適でもあります。

本来のものは『カラー(上襟)』にベルベットがあしらわれていますが、現行で市販されているものはカラー部分も身頃および『ラペル(下襟)』と共生地のものがほとんどです。オーダーメイドであれば本格的にベルベットのカラーにするのもよいでしょう。

春や秋にも活躍 トレンチコート

チェスターコートがフォーマルとすれば、ミリタリー、いわゆる軍モノから出てきて一般に定着したのが『トレンチコート』です。第一次世界大戦では、トレンチコートが塹壕(trench)戦を戦う兵隊に支給されたのです。

名画『カサブランカ』で名優ボギーことハンフリー・ボガートが着ていたのもトレンチコートです。トレンチコートのデザインは、1世紀を隔てても、ほとんど変わっておらず、それぐらいある意味完成されたデザインなのでしょう。

トレンチコートは冬だけではなく、ライニングを外せば、合いコートとして春や秋にも活躍します。

クラシカルな印象を与える ピーコート

トレンチコートがイギリスの陸軍が発祥であるのに対して、『ピーコート』(もしくは『ピージャケット』)はイギリスの海軍で生まれました。

ダブルブレストのフロックコートを、甲板での作業がしやすいように腰から下をカットした水夫向けのデザインです。

フロントの打ち合わせがダブルで、風の向きによって打ち合わせを変えれば、甲板上で吹き荒れる風が隙間から入ることを防ぐことができるメリットがありました。

通常ラペルは折り返されていますが、襟を起こしてスタンドカラーのように喉を覆うように巻いて釦で止めてしまうこともできます。さまざまな防寒のために仕立て方により、歴史的背景を感じさせて、クラシカルなテイストになっています。

オーダーコートでカスタムできるのは?

オーダーメイドでコートを仕立てる時に、どうせなら自分だけの1着にしたいものですが、カスタマイズはどの程度可能なのでしょうか?

コートの型

コートの型自体は無数にあり、カジュアル寄りのものも入れると膨大なデザイン数になりますが、オーダーで仕立てが可能なものはそのすべてではありません。ショップによって違いはあるでしょうが、基本的なオーダー向けの型を挙げましょう。

チェスターコートとステンカラーコードは、コートのオーダーを受けるショップならまず可能でしょう。

トレンチコートはディテールが色々細かいので、オーダーできるショップは多くはない場合もあるので、あらかじめショップに問い合わせるとよいでしょう。

生地

生地に関しては、たいていのものは用意できるはずです。コート用によく使うメルトン・モッサ・カシミヤ・ツイードなどは問題なく選べるでしょう。

柄物も選ぶことができますが、シンプルなものを選ぶことで、汎用性の高いマルチに着こなし可能なコートが作れます。

ボタンや裏地などのオプション

ボタンや裏地ももちろん選べます。せっかくのオーダーなので、プラススチックのボタンは可哀想です。

『本水牛』や『革バスケット』『メタルボタン』など色々な選択肢からテイストに合うものを選びましょう。もちろんスタイルや素材との相性もあるので、スタッフとよく相談して決めましょう。

オーダーコート選びのおすすめポイント

オーダーコートの選び方で、おすすめできるポイントがいくつかありおます。ここではそれを紹介しておきます。

スーツとの相性は柄で決まる

スーツとコートの相性は柄で決まります。どういうことでしょうか?

たとえば、ストライプのスーツにチェックがきついコートは合わせにくくなります。その場合はストライプか無地のコートが望ましいでしょう。またその逆もあります。チェックのスーツにきついストライプのコートも不似合いです。

絶対に間違いないのは無地のコートです。しかしそれでは物足りない場合は、自分が持っているスーツの柄の傾向を考えて、そこから逆算して汎用性が高そうな柄を選んでオーダコートにするのが賢明でしょう。

長く使いたい場合は生地選びも重要

一度仕立てたら、長く使いたいのが人情です。そうするためには生地選びが重要になってきます。

まず、耐久性という意味では『目付け』(1平方メートルあたりにグラム数)の数値が大きいものがおすすめです。300g〜400g程度が好ましい目付けです。『打ち込み』がよいとも言いますが、要するに目が詰まった生地ということです。

また、別の要素でファッションのトレンドを意識しすぎると、数年で陳腐になるということも覚えておくべきでしょう。

コートはそうでなくても長年着るアイテムですので、ベーシックなデザインの方が陳腐化せずにずっと楽しめます。

汚れを隠すなら色合いも大切

汚れを気にするのであれば、明るい色合いよりもダークの方がよいでしょう。かといって真っ黒も埃が目立ちます。ミディアムトーンぐらいのダークが、ちょうど汚れを分かりにくくする効果があります。

そして、完全な無地よりも少し柄が入ったり、織り柄であったり、表面効果がある生地だったりする方が、汚れが目立たなくてよいのです。

コートをオーダーする際の注意点

コートをオーダーメイドで注文する際に注意しておきたいポイントを、しっかり確認しておきましょう。

実際にコートと合わせるスーツを着て行く

オーダーショップ・サロンに行く時に、これから仕立てるコートに実際に合わせたいスーツの中から1着を代表として選び、着用していきましょう。

その方が、サイズ感や着心地を見極めるためだけでなく、テイストとしてどのようなものが合うのかショップのスタッフもイメージしやすく、よりよい提案が出る可能性を高めます。

シーズン前にオーダーしておく

オーダーコートを注文するときは、そのシーズンが来る前に発注しておく方がよいでしょう。納期が1〜2カ月かかることを考えたら、シーズンに入ってから注文したのでは、出来上がる頃にはもうシーズンも終わりかけになってしまいます。

どうせならそのシーズン中に着たいものですし、また、もし補正の必要があると後から判明したとして、一年越しではショップに言いにくさを感じる場合もあります。

まとめ

オーダーメイドでコートを注文するに場合に、失敗しないための、種類や選び方のコツと周辺情報を解説しました。本文でも述べた通りコートは一度作ると長く着るものなのです。

少し面倒でも最初に色々考えて決定していくことにより、失敗や後悔を避けられるので、むしろその過程を楽しむようにいろいろとこだわり、納得のいくお気に入りのオーダーメイドコートを仕立てましょう。