冬というのはスーツがもっとも活躍する季節です。コートやマフラーなどの、周辺アイテムとのコーディネートも楽しめる季節でもあります。そんな冬に着るスーツ選びだからこそ、失敗したくありませんよね。自分に合ったスーツの選び方のコツを紹介します。
この記事の目次
冬に着るスーツの特徴は?
そもそも冬に着るスーツは、春や夏のものと比べてどう違うのでしょうか?冬のスーツの特徴を解説します。
冬には秋冬スーツを着よう
現代のスーツ生地はパッと見ただけでは、夏物か冬物かわからないものが多いです。しかし、触ってみると肌触りも厚みも違います。
例えば、生地の重さは『目付け』といって生地1平方メートルの重さが200~240g程度は夏物、260g以上は冬物とされます。
当然着用して暖かみがあると同時に、生地の丈夫さも高くなります。つまり夏物よりも丈夫で、持ちがよいのです。それゆえ、夏スーツはコストパフォーマンスで選び、冬スーツにはお金をかける人も多いようです。
何より冬はファッションの楽しみ方という面で、充実する季節です。スーツを起点にVゾーンやアウターのコート、マフラーなどの小物に至るまで、オシャレにコーディネートしてみましょう。
春夏ものとの違い
前述のように、春夏ものと秋冬ものでは、生地の目付けが明らかに違います。また、パッと見てわかる部分は裏地の仕様が『背抜き』と『総裏』の違いがあります。春夏は背抜き、秋冬は総裏が基本です。
総裏は、昨今ではオールシーズンに近い考え方で、冬生地を使って背抜き仕様にしたり、夏生地を使って総裏仕様にしたりすることもあります。
オールシーズンスーツは冬にも着られる?
正確には日本のすべての気候に対応できるスーツは難しいでしょう。しかし、ある程度シーズン性が幅広いスーツはあります。『10months(テンマンス)』と呼ばれる素材によって、文字通り盛夏の2カ月を除く10カ月間着用可能なスーツがそれです。
春夏ものと秋冬物の中間程度の生地の厚みを持つテンマンス素材なら、オールシーズンと呼んでも差し支えないでしょう。冬場の着用はもちろん可能ですが、肌寒い場合があるのは否めません。
そんなときはベストやセーターをインナーに加えたり、『ヒートテック』などのアンダ―ウェアを着こんだりして調節するのがベターです。
自分に合ったサイズを探そう
せっかくの冬のスーツですが、1カ所でもサイズがおかしいと、スーツスタイル全体が台無しです。自分に合ったサイズを探すための基本情報を確認しておきましょう。
サイズ表記の見方
スーツのサイズ表記は『三元表示』と呼ばれる規格があります。A5号とかAB6号とかを聞いたことがあるでしょう。Y・A・AB・BBなどは、体型の痩せ型から太っているかを示します。
Yは細み型、Aが標準、ABはやや大きめ、BBはかなり大きめ体型です。3・4・5・6・7・8などの数字は身長を表します。
3号が160cmで、あとは5cmずつ増えます。6号なら175cmです。この2つの記号の組み合わせでサイズが決まります。標準体型で身長180cmならA7号、太り気味で165cmならAB4号、結構太っていて身長は170cmならBB5号といった具合です。
しかし、これらはあくまで目安であり、実際は型紙によって、その表示と違う体型でもぴったり合うこともあれば、表示通りなのに合わない場合も多々あります。着てみないと分からない部分も多いので着用して選ぶのがベストでしょう。
ジャケット選びのポイント
スーツのシルエットを印象づけるのはジャケットです。体にフィットしたジャケットは、着るひとの印象をよくする効用があるようです。
体型とのバランスが悪いと、それだけで印象が悪くなります。くれぐれもバランスが合ったものを選びましょう。見極めるポイントを挙げておきましょう。
- 肩幅:ほぼジャストで1cm程度の余裕が望ましい
- 袖の長さ:腕を降ろした状態でシャツのカフスが1~1.5cm見えるぐらい
- 胴回り:第1釦を止めて、身体との間に握り拳がきちっと入るぐらい
- 着丈:ヒップがちょうど隠れるぐらい
パンツ選びのポイント
パンツのサイズが合っていないと、スーツが台無しになります。よいフィット感のパンツはプロポーションをよく見せます。
股下丈は長すぎても短すぎてもNGです。少したるみのある丈感『ハーフブレイク』が標準で、『ノーブレイク』に近い長さが今風です。完全なノーブレイク・フルブレイクは極端なので避けましょう。
『渡り幅』は、太ももの周りの幅のことですが、太すぎるとかなり野暮ったく、おじさん臭くなります。もちろんピチピチもNGです。
冬のスーツの特徴
冬のスーツの特徴とは一体どういうものでしょうか?春夏とはどこがどう違うのか。その特徴を解説します。
防寒機能を重視した生地素材
寒い冬には、防寒機能を重視した生地が出てきます。厚みがある生地は中に空気をため込む量も多くて、外気の遮断性が高まり、その分保温性に優れて暖かい服になります。
『フランネル』や『ツイード』などは見た目もオシャレで、防寒にも役立つ暖かい生地です。他に暖かそうな生地としては『メルトン』『モッサ』『ブランケット』などがありますが、いずれもスーツ向けではなく、コートやジャケット向けです。
防寒性は生地の重さも関係する
生地の防寒性はその重さとも関係します。前述の目付けが260g以上のものは当然厚みも出てきて、その結果保温性に反映されるので、重い生地イコール暖かい生地とも言えるでしょう。
こだわりの柄を決められる
冬のスーツは柄がたくさんあり、自分のこだわりを表現しやすいと言えるでしょう。夏物ではなかなかイメージしたものと同じようなものがなかったりしますが、冬物は高い確率でイメージに近いものを見つけられるでしょう。
代表的な柄(織り方)を挙げると以下のようになります。
- ストライプ(ストライプの中でも多数の種類あり)
- チェック(ストライプ同様に多数の種類あり)
- ヘリンボン
- バーズアイ
- オートミール
- ホームスパン
- ダイアゴナル
- アムンゼン
- ラチネ
- ジョーゼット
自分の好みにあった柄を見つけて、取り入れてみるとよいでしょう。
寒い日にはベストの着用がおすすめ
ベストを着こなすことが、最近注目を浴びています。最近のドラマや映画の中でも、登場人物がよくベストを着用しています。また、冬の寒い日には似つかわしいアイテムです。選び方のポイントなどを紹介します。
ベスト選びのポイント
ベストは着回しを考えると無地のグレー・ネイビー・ブラックなどがおすすめです。さまざまなスーツやジャケットの中に使いやすいでしょう。
グレーは特に使いやすく、ライトグレー・ミディアムグレー・チャコールグレーのすべてが使えます。ライトからミディアムのグレー無地ベストなどは、ほとんどジャケット・スーツを選ばない優れた汎用性をもっています。
サイズに関してはジャストサイズよりも気持ち緩めのものを着て、後ろにある尾錠を締めることによって、ジャストサイズに持っていくのがよい合わせ方です。
流行りはスリーピーススーツ
昔は『三揃え』とも呼ばれていた『スリーピース』はスーツファッションの中の、流行アイテムのひとつです。クラシカルで風格も演出できるので、オシャレな雰囲気が簡単に出せます。また、ベストがあると装いの格が上がるのです。
スリーピースの柄は、ストライプだととてもスタイリッシュになるのでおすすめです。無地でも表面感のある生地なら、渋めで味わい深いスリーピースになるでしょう。英国調のチェック柄のスーツも素敵なスリーピースになるでしょう。
スリーピースのメリットとして大きいのは、品格が増すことです。そして、そのベスト(ストライプ以外)を他のスーツの中に合わせて楽しむこともできます。無地やチェックのベストを、色合いを考えて、ぜひ他のスーツに合わせて楽しみましょう。
おしゃれの定番セーターの選び方
冬のオシャレのアクセントとして活躍するのは『セーター』です。もちろん防寒も兼ねますので一石二鳥のアイテムと言えるでしょう。
セーターとニットの違い
セーターと『ニット』が紛らわしいと感じるひとも多いのではないでしょうか?この違いを理解しておきましょう。
ニットは1本の毛糸から編み上げて作られるさまざまなアイテムを、素材でくくった総称です。そのため、セーターもニットアイテムの中の一つになります。
他のアイテムとしては、ベスト(ニットベスト)・カーディガン・ニットキャップ・マフラー・ニットネクタイ・ニットジャケットなどがあります。ニットの意味をわかったうえで、ハイゲージのセーターをハイゲージニットなどと呼ぶこともあります。
編み模様は無地の方が合わせやすい
セーターはカジュアルのものだとゲージも太く、色も複数使ったものや、1色でも編み模様が入った物が多いのですが、それらはスーツにはあまり合いません。スーツに合わせるには、無地でなおかつゲージが細い、つまりハイゲージのものが最適です。
あくまでメインはスーツあるいはジャケットですから、それを引き立てるにはミドルゲージ以上や、色が複数入ったもの、編み模様の入った無地などは存在感が強すぎてしまいます。
無地のハイゲージセーターなら主張しすぎず、オシャレ感は立派に添えてくれます。そしてなによりも合わせやすいと言えるでしょう。柄があるとネクタイやスーツの柄とぶつかったりもします。まずは汎用性の高い、無地のセーターをトライしましょう。
カラーはスーツの色を基準に
セーターをコーディネートする場合のカラーは、スーツの色を基準とします。スーツ同系色で濃淡を出すグラデーション的な着こなしは、簡単ですがサマになります。
あるいは挿し色を持ってきたりもOKです。ネイビースーツにベージュのハイゲージセーターなどオシャレです。グレースーツにワインカラーのハイゲージセーターもなかなかではないでしょうか。
スーツ・シャツ・ネクタイ・セーターとアイテムが増える場合、色の系統の数が増えすぎると統一感が無くなってイマイチなので、色数をまとめましょう。
例えば、スーツとセーター、シャツとネクタイがそれぞれ同系色とか、ネクタイスーツ以外全て同系色などと、好みにあわせていろいろ楽しんでみるとよいでしょう。
スーツに合うコートの選び方
冬はコートを羽織る楽しみもあります。コートさりげなく存在感をアピールすることも可能です。スーツに合うコート選びの参考になる情報を紹介しましょう。
デザインはなるべくシンプルに
スーツスタイルに合うコートの種類は、非常にたくさんあります。しかし、カジュアルではなくスーツスタイルなので、デザイン的にはシンプルなものがよいでしょう。
そういう意味ではチェスターフィールドコート・ステンカラーコート・トレンチコートなどがおすすめです。
この3つは定番的なデザインです。保守的な感じで選ぶなら、ステンカラーコートがおすすめです。ダンディなムードを出したいのであればトレンチコートです。
着回しとオシャレさを求めるなら、チェスターフィールドコートです。スーツに合わせたら上品ですが、オフィスカジュアルに合わせると大人っぽくなり、デニムファッションに合わせたらワイルドなイメージが出ます。
ベージュ系なら秋や春先も着用可
ベージュ系のコートでコットンやウールギャバなどのものは、春や秋に『合いコート』としても使えます。ベージュは日本人の肌の色にも近いため、春や秋に羽織っても違和感はありません。
ただし、ベージュであっても紡毛素材・起毛素材は素材の季節感がまず合わないので避けましょう。
サイズは長すぎないように注意
コートのサイズが極端に長いのはおすすめできません。身長とのバランスもあるので一概には言えませんが、ひざ下20~30cm程度までが見た目的にオシャレと思える限界ではないでしょうか。
それを越すと奇異に見える可能性があります。ひざを中心にその少し上か同じぐらいか少し下か、その程度が間違いない丈でしょう。ここ数年はロングコートよりもひざ丈のニーレングスコートの人気が続いています。
シーン別おすすめスーツ
冬にはスーツを着るさまざまなシーンがあります。シーン別にどのようなスーツが適切かを悩むこともあるでしょう。シーン別のおすすめスーツを紹介しておきます。
就職活動時のコート選び
就職活動では身だしなみは重視されます。その印象で合否に関する評価も変わるので、就職活動に相応しいスーツを着用するのは当然です。そしておろそかにしてはいけないのが、コート選びです。そこでも良識を問われる場合があります。
例えば、いくら面接で印象がよくても、携えていたコートがダウンジャケットだった場合、それを見られたとしたら印象が微妙に変わります。面接や会社訪問の装いは誠意の表現だということをうわべではなく、意識した方がよいでしょう。
コートを選ぶときはデザイン的にはステンカラーかチェスターのシンプルなもので、色目は基本的なダークネイビーやブラック、チャコールグレーなどの無地がもっともおすすめです。
素材はウールかコットンがおすすめですが、化繊系でも見た目がベーシックであれば問題ないでしょう。
職場では社内のルールに合ったものを
職場には社内のルールがあったりします。例えば、ダークスーツしかダメとか、白シャツしかダメ、ネクタイは無地しかダメなどの着こなしのルールを持つ会社が意外とたくさん存在します。
そこまで極端ではなくても、社風のような緩やかなルールがあることも多いので、それに準じて、先輩の意見も伺ったうえでスーツ選びをするのが賢明でしょう。
例えそれが、ファッション的に違和感があっても、社内のルールならひとまず受け入れて、その範囲でできる着こなしを楽しみましょう。着こなし可能な範囲が決まると、かえって新たな着こなしの発想が生まれるかも知れません。
結婚式、パーティの場ではフォーマル感を
結婚式やパーティなどのセレモニーシーンでは、フォーマル感を出しましょう。春夏ならともかくとして、秋冬にはセオリー通りのダークスーツ・ブラックスーツがよいでしょう。スリーピースはフォーマル感が増すのでよりよい着こなしです。
柄的には、無地もしくは同色による織り柄に押さえておくのが賢明です。ストライプやチェックは相応しくありません。
また、中に同系色のベストを着るのもフォーマル感が出ます。他にはネクタイをシルバーグレー系にしたり、胸ポケットにシルクのポケットチーフを入れたりなどでフォーマルの雰囲気を盛り上げましょう。
まとめ
冬のスーツ選びに関してサイズをきちっと合わせて、生地の選択を間違えなければ、個性を際立たせるスーツスタイルの実現はそう難しくありません。基本を知った上で応用しながら冬のスーツファッションを楽しもうではありませんか。