こんにちは、Re.muse(@remuseordersuit)です。

ビジネスシーンに欠かせないスーツですが、量販店で安く購入できるものから高級なものまで、そのランクはさまざまです。しかし、その違いを明確に理解している人は少ないでしょう。そこで、高級スーツの選び方や着こなしのポイントなどについて紹介します。

高級スーツの魅力とは

「人と接する時には、上質なスーツを着ているほうが印象が良い」と考える人は多いでしょう。しかし、一方で「誰もその違いなど分からないのではないか」と思うこともあります。

ファストファッションが普及し『質より量』という考え方は、ビジネスファッションにも広がりました。

「それならば安いスーツでも構わない」と早急に結論づける前に、ビジネスシーンに不可欠なスーツについて、もう少し理解を深めてみることをおすすめします。

『高ければ全て良い』というわけではありませんが、高級とされるものにはやはり、それだけの価値と理由があることも忘れたくないものです。高級スーツの魅力とは、いったいどこにあるのでしょうか。

美しい光沢を放つ生地

スーツの質を決定づける大切な要素の1つが『生地』です。このように言うと「当たり前だ」と思う人もいるでしょう。しかし、意外にその大切さは認識されていないものです。

生地の良し悪しは、ファッションにこだわりの無い人にでも直感的に分かってしまいます。低価格のスーツでは、コストを抑えるために、生地の半分か、それ以上の割合で『ポリエステルを含んだ混紡素材』が使用されているのです。

これに対して、高級スーツの多くは『100%ウール素材』の生地で仕立てられます。それは、見た目の違いとなって顕著にあらわれるでしょう。

一般的に、細く繊細なウールの糸を使用するほど、その生地は美しい光沢を放ちます。それは、パッと見ても分かるほど圧倒的な高級感を備えているのです。

縫製・芯地など細部へのこだわり

ものづくりにおいて『神は細部に宿る』という言葉が使われますが、スーツにも同じことが当てはまります。

衣類の製作工程においては、布などを縫い合わせる『縫製』や、生地を内側から支えている『芯地』(しんじ)など、見えない部分の仕上がりや材料がとても大切です。

芯地という言葉は、耳になじみがないかもしれません。生地を分解したときに、表地と裏地の間に挟まれている生地が芯地です。

衣類のシルエットを形作り、体にフィットする着やすいシェイプにしたり、洋服独自の個性を豊かにしたりと、重要な役割を持っています。

良いスーツは『立体感』を意識して作られているのが特徴です。立体裁断された生地を使って、毛芯などを用いた質の良い芯地を採用し、それらに丁寧な縫製を施すことで美しいフォルムが生まれます。

すぐに型崩れが生じないのも、このような工程によるものです。高級なスーツは、細部へのこだわりが随所に溢れているのが魅力の1つと言えるでしょう。

流行に左右されない高級感のあるデザイン

人にはそれぞれ『好み』があります。それは、洋服のデザインに関しても当てはまることです。

ファストファッションの浸透で、人の好みが変わるスピードはとても速くなりました。現在流行しているデザインも、1年後にはすたれているということも珍しくありません。

低価格で買える量販店でも、その時々の時流に合わせてトレンドにマッチしたデザインのスーツが店頭に並んでいます。しかし、それは『長く着ること』を前提としていないから成り立っているとも言えるのです。

一方で、高級スーツは、いつまでも大切に着続けることを念頭に置いて作られています。そのため、長い間の使用に耐えられる品質でなければなりません。

それはデザインについても言えることです。流行に左右されず、いつの世にあっても色褪せることのない伝統的なスタイルで1着1着が仕上がっているのが、高級スーツの大きな魅力の1つでしょう。

高級スーツの要である生地の選び方

ここでは、スーツ選びにおいて大切な『生地の選び方』について見ていきましょう。生地のタイプを大きく分けると『イタリア産』『イギリス産』そして『国産』の3種類に分類できます。

イタリア産の生地は、比較的に薄手で艶が感じられ、肌触りの滑らかさや、着た時の動きやすさが特徴です。

イギリス産の生地は、ザラザラとした硬い手触りが特徴ですが、耐久性の高さには定評があります。柄のデザインは、よりトラディショナルな傾向です。

国産の生地は、耐久性と見た目の高級感が評価されています。それは、日本の技術力に裏打ちされた染や織といった工程を経て、しっかりと作られているからこそ両立できているものです。

光沢のある生地はシルクが使われている

生地の質を計る1つの基準は『光沢』です。光沢は、見る人に艶のある印象を与えてくれると同時に、スーツに上質な落ち着きと品のある風格をもたらしてくれます。

スーツの光沢を生む生地には『シルク』が織り込まれており、このシルクが、高級感のある光沢を出すための大切な要素の1つです。高価な材料ですが、高級スーツの生地に欠かせない素材となっています。

柔らかさを触って確認する

柔らかさや肌触りの感覚は、生地の良し悪しを判断するうえでとても大切なことです。生地の柔らかさは、生地の元となる糸の『繊維の細さ』によって決まります。

用いられる繊維が細くなればなるほど、柔らかく肌触りも良い、高級な生地であると言えるでしょう。

繊維の細さを見る基準の1つとして『SUPER表示』があります。スーツのタグを見れば、誰でも確認することが可能です。『SUPER100』『SUPER110』というように表示されます。この数値が高いほど、より原毛が細い繊維であることを示すものです。

ただし、スーツでは、SUPER表示の数値がただ高ければ良いということにはなりません。ネクタイやポケットチーフには良くても、耐久性などを考えるとスーツには不向きな場合もあります。実用面を考えると、100~110前後のものが適しているでしょう。

シワがすぐに戻るかどうかもポイント

高級スーツを選ぶにあたって、シワがすぐに戻る生地であるかどうかも、大切なポイントです。

見極め方としては、裾をつまんでみて、その後のシワの戻り方を確認してください。良い生地は『復元力』においても優れています。

おすすめの高級スーツメーカー

高級スーツは、ただ高価なだけではありません。そこには、納得の理由があることを理解していただけたでしょうか。ここからは、おすすめの高級スーツメーカーを厳選して紹介します。

エルメネジルド・ゼニア

1910年に北イタリアで創業した『エルメネジルド・ゼニア』は、織物メーカーとしてスタートした会社です。

ニュージランドやオーストラリアの天然繊維にこだわった品質の高さで、イタリア国内だけでなく、世界へとその名が広まりました。

生地には強い自信を持つ同社は、アパレルの世界で初めて、服地の耳にブランド名をプリントし、信頼性を高めるという手法をとったことでも知られていて、そのデザイン性の高さには定評があります。

スーツのみならず、カジュアルジャケットやスポーツウェアにいたるまで、幅広いジャンルで高い評価を受けているブランドです。

ロロ・ピアーナ

1924年にイタリア・クアローナ地方で創業した『ロロ・ピアーナ』の最大の特徴は、最高級の原料を用いた上質な生地の安定供給に力を注いでいる点です。

世界における『メリノウールスーパー100’s』総生産量のうち、実に30~40%を同社が購入していることからも、その熱意がうかがえるでしょう。ほかにも『タスマニアン』『ザ・ウェーブ』などの生地で、世界的に名だたる地位を確立しているブランドです。

また「神々の繊維」と称される『ビクーニャ』については、ペルー政府より公式に取り扱いが認められていて、その技術力は高い信頼を得ています。

ドーメル

1842年、創業者のジュールス・ドーメルがフランスのパリ近郊において立ち上げた『ドーメル』ですが、そもそも、イギリスから毛織物を輸入し販売する貿易商社としてスタートしました。

イギリス織物に魅了されたドーメルは、その後、自身も生地の生産を手がけるようになります。工場をイギリスに置き、質の高い服地の製造を続けているブランドです。

現在では、80カ国以上に供給され、世界的な評価を受ける同社の生地ですが、それによって作られるスーツは、まさに世界のトップブランドとしての風格を漂わせる1品になっています。

フランスとイギリスの感性が織りなす独特の高級感が、ドーメルの魅力でしょう。

オーダースーツで自分だけのスーツを着る

「体形や好みに合わせて、自分だけのオリジナルスーツを作りたい」と望む人はたくさんいるでしょう。オーダースーツの魅力と、作るときのポイントについて説明します。

自分の体に合ったスーツが作れる

オーダースーツの最大のメリットは『自分の体にフィットしたもの』を着られることでしょう。

好みのデザインのものを購入したけれど、肩や胸のあたりが窮屈だったり、反対にゆるくなりすぎたりして、次第に着なくなるという経験を持つ人は多いものです。

既製品、特に量販店で売られているものは、コストを抑えるために限られた種類の型紙で作られています。そのため自分の体型にピッタリと合ったスーツを見つけることが難しい場合もあるでしょう。

その点『フルオーダー』であれば、細かく採寸してオリジナルの型紙を作ることから始めるので、心地よく着られるスーツを手にすることができます。『パターンオーダー』や『イージーオーダー』の場合でも、数ある型紙の中から選べるため、細やかなサイズ調整が可能です。

デザインや生地にまでこだわれる

「毎日のものだからこそ、スーツのデザインや生地にこだわりたい」と思っている人は案外多くいるのではないでしょうか。

既製品のスーツは、生産性や利益率を重視せざるを得ないため、どうしても無難なデザインや生地で作られています。そのため、やや物足りなさを感じる場合もあるでしょう。

オーダースーツであれば、好みの生地や体型に合ったデザインを選べるだけでなく『襟やポケットの形、裏地』など細かな部分までカスタマイズすることが可能です。こだわり抜いた1着に袖を通した時、高い満足感とともに、新たな自分に出会えるでしょう。

値段の相場はどれくらい?

オーダースーツの価格相場について見てみましょう。ここでは以下の3種類に分けて説明します。

  • パターンオーダー
  • イージーオーダー
  • フルオーダー

最も手頃な価格で作れるのは『パターンオーダー』です。ゲージ服と呼ばれるサンプルを試着して、フィットするサイズを選び、丈や袖を調整しながらその人の体に合わせて仕立てます。2万円程度からオーダー可能で、既製品とほぼ変わらない値段でオーダーが可能です。

『イージーオーダー』の価格は5万円前後からです。既にある型紙に、その人ごとの体型や好みのデザインをもとに補正を加えて仕立てていきます。生地やデザインを自由に選べますが、個別に型紙を作らないことと、マシンメイドであることから価格は少し抑えられます。

徹底的にこだわった一着を求める人には『フルオーダー』が最適です。オリジナルの型紙を作って、その人に合わせたスーツを仕立てます。熟練した職人による手作業も増えるので、価格は20万円前後からで高級品ですが、完成度も納得のいくものになるでしょう。

高級なスーツを着こなすためには

せっかくの高級スーツも、着こなし1つで印象は大きく変わってしまいます。上質なスーツに見合った着こなしについて紹介します。

サイズを合わせて着る

サイズを合わせることは、スーツにとって、とても重要なポイントになります。サイズを合わせるべき主な箇所は以下の5点です。

  • 着丈
  • ズボン丈

『肩』は、スーツの肩の縫い目が肩の端の部分にくるように合わせましょう。『袖』については、手のくるぶしあたりに合わせ、シャツの裾が1.5cmほど見えるようにします。

『胸』まわりに関しては、上のボタンを締めたときに握りこぶしが1つ分入るくらいが目安です。『着丈』は特に流行が反映されやすい部分ですが、高級スーツを長く着るなら、お尻が半分ほど隠れる長さにしましょう。

『ズボン丈』は、裾を脚のくるぶしあたりに合わせ、前方が靴に当たってズボンにくぼみ(しわ)が1つできる程度が適切な長さです。これを「ワンクッション」と言います。

ベルトや腕時計など合わせるアイテムも重要

ベルトや腕時計などのアイテムに気を配ることで、高級スーツがさらに引き立ちます。

長く着ることを想定した高級スーツは、スタイルがトラディショナルなものが多くあります。そのため、時計はカジュアルにならないよう、デジタル時計ではなくアナログ時計にしましょう。

時計のベルトが皮であるなら、革靴とベルトの色・質感をマッチさせたいものです。

スーツを長持ちさせるためのコツ

高級スーツは、一生ものになり得るアイテムです。それだけに、普段から大切に扱い、長持ちさせましょう。スーツを管理するためのコツを紹介します。

ハンガーにかける

スーツを保管するときに、畳んでおくことなどは厳禁です。必ずハンガーを使用しましょう。

ただし、どんなハンガーでも良いわけではありません。高級なスーツには、それに見合うハンガーを選びましょう。ハンガーの長さは、スーツの肩幅に合わせたものにします。材質は『木製』がおすすめです。

さらにハンガーの肩先が前方に向かって少しカーブしているものが良いでしょう。これによりスーツの型崩れを防ぐことになります。

ブラッシングをする

スーツを着用した後には、必ずブラッシングをしましょう。ブラッシングは、大切なスーツを劣化から守ってくれるひと手間です。

ブラシの効果があらわれるのは、2~3年が経過してからだと言われています。それほど、良い生地は繊細です。日々の取り扱い方によって衣類の品質に影響します。

ブラシの材質は、スーツには『天然の豚毛・馬毛』を使った『硬め』のものがおすすめです。全体を軽く叩き、ホコリを浮かせてからブラッシングしましょう。ジャケットは上から下に、ズボンは逆さまに吊るして裾から腰へと丁寧にブラシをかけます。

同じスーツを着続けない

1着のスーツを毎日のように着続けてしまうと、どうしても早く傷みが進んでしまい、型崩れを起こしやすくなります。何着かのスーツを日によって変えながら、間隔をあけて着るようにしましょう。

スーツをクリーニングに出すときの注意点

「大切にしたい高級スーツだから、こまめにクリーニングに出すのが良い」と考えている人もいるでしょう。しかし、それは必ずしも正しいお手入れ方法ではありません。適切なクリーニングの出し方・注意点を解説します。

クリーニングに出す頻度

高級スーツをクリーニングに出すのは『1年に1回ほど』が適当な頻度です。

「大切だからしょっちゅうクリーニングに出したい」と思う人もいるでしょう。しかし、スーツの品質を保つためには逆効果になりかねません。繊細な生地を使用するスーツを頻繁に洗ってしまうと、繊維が傷んでしまいます。

汚れが気になる場合には、一般的なクリーニング店に出すのではなく、高級スーツにも対応するクリーニング店で『ポイントごと』に洗ってもらうようにしましょう。

クリーニングは2種類ある

クリーニングにも、実は種類があることをご存知ですか?大切なスーツを正しく保管するために『ドライクリーニング』と『ウェットクリーニング』のそれぞれの特徴を知っておきましょう。

ドライクリーニング

ウールなどの素材を使った衣類は、有機溶剤で洗うドライクリーニングが向いています。衣替え際に1回出す程度のクリーニングなどは、ドライクリーニングが良いでしょう。

メリットは、皮脂や口紅といった強力な油汚れが取れることや、型崩れがしにくいことです。一方で、生地にガサガサ感が生じたり、食べ物によるシミや汗などの水溶性の汚れが落ちなかったりというデメリットもあります。

ウェットクリーニング

水を使って汚れを落とすウェットクリーニングですが、一般的な洗濯とは異なり、専門的で高度な知識・技術を使って洗います。

高級スーツを家庭で水洗いすることは避けるべきですが、専門店でのウェットクリーニングには利点があります。汗や食べ物の汚れといったドライクリーニングでは落とせない汚れもきれいになり、サッパリとした洗い上がりの心地よさを感じるでしょう。

デメリットは、料金が高いことです。

まとめ

上質な生地で丁寧に仕立てられた高級スーツに袖を通すと、積極的な気持ちが増してくるでしょう。高級スーツに身を包み、新たな自分の一面に出会ってみてはいかがでしょうか。