男性のハレの日に着るもっともフォーマルな装いは、タキシードだと考える人も多いでしょう。ブラックタイという別名を持つタキシードの中に着るドレスシャツは、どのようなものが最適なのか、ハレの日に失敗しないため基本知識や合わせ方のコツを紹介します。
タキシードの基本
礼装の中におけるタキシードの位置から、着るべきシチュエーション、そして合わせる小物まで、まずはタキシードの基本を確認していきましょう。
タキシードは夜の礼装の代表格
現代の認識としては、タキシードは男性用の夜間の宴席で着用される正装という認識でよいのですが、厳密には『燕尾服/イブニング』が正装でタキシードは略式なのです。
しかし、20世紀の終盤以降、燕尾服が着用されることが減少し、タキシードが主にその役割を果たすようになりました。これを分かったうえでの認識としては、正装と言って良いでしょう。
タキシードに合わせる7つのアイテム
タキシードの周辺アイテムは以下の7つです。
- シャツ:ウィングカラーシャツ
- ネクタイ:黒の無地もしくは織柄の蝶ネクタイ
- カマーバンド:(シングルのタキシードの場合)蝶ネクタイと同素材
- カフリンクス:シルバー台(ゴールドも可)に黒蝶貝かオニキスなどの黒系の石使い
- ポケットチーフ:シルクリネンの白無地ポケットチーフをスリーピークスにて
- 白手袋
- シューズ:エナメルのオペラパンプスもしくはエナメルの内羽根式ストレートチップ
タキシードを着る際は、これらのアイテムを合わせましょう。
タキシードのシャツの特徴
タキシードに合わせるドレスシャツは、一見しても普通のドレスシャツと異なります。その特徴を確認しましょう。
シャツは大きく分けて2種類
タキシードに合わせるドレスシャツには、大きく分けて2種類あります。『ウィングカラーシャツ』と『レギュラーカラーシャツ』です。
ウィングカラーは主に『ショールカラー』(へちま襟とも呼ばれる)のタキシードによく合わせます。対して『レギュラーカラー』は主に下襟の先端がとがっている『ピークトラペル』(剣先襟)のタキシードによく合わせるものです。
基本は白色
タキシード用のシャツの色目は、基本的には白色で、素材はブロードクロスが基本です。ブロードクロスは、表面がさらっとしている平織りで、ドレスシャツの代表的な生地として使われます。
番手(使用する糸の太さ)でいえば『100双』と呼ばれる100番手の双糸、あるいは50番手の単糸のブロードクロスがおすすめです。糸の番手の数字が大きいほど細い糸となり、絹のような光沢に近づきます。80番手以上は高級品の部類です。
胸にはプリーツが付いている
タキシード用のドレスシャツには、胸の部分に細かいプリーツが何本も入っているものと、一切入っていないものものが存在します。これはどちらでも問題はありませんが、プリーツ付きの方がフォーマルであると言われています。
紳士服の歴史では、ドレスシャツはそもそも下着であり、礼装の場合、下着を見せてはいけないだろうと、Vゾーンに別の布をつけていたのです。
時代とともに、別布ではなく同じ布でプリーツをほどこして装飾するようになりました。そうした理由によって、プリーツが付いているほうがよりフォーマルであり、市販されているものも、プリーツ付きのシャツが多いのです。
ダブルカフスの袖口仕様
タキシード用のシャツの、袖口の仕様はダブルカフスと呼ばれる、折り返されて二重になっている仕様が多いです。
カフスにボタンホールが開けてあり、カフリンクスを貫通させてとめます。モーニングコートの場合も同様です。
よりフォーマルに着こなす合わせ方
タキシードを着用するときに、その周辺アイテムの着こなしも迷うところです。せっかくフォーマルなシーンなので、よりスマートな着こなしを知っておきましょう。
カフスボタンでさりげないおしゃれを
そもそもカフリンクスをなぜするのかと言いますと、前述のようにシャツが下着であり、下着のボタンを晒さないという意味があります。
タキシード用のシャツに合わせるカフリンクスは、『黒蝶貝』もしくは鉱石の一種である黒い『オニキス』が基本です。昼間のフォーマルシーンでは白蝶貝が一般的ですが、タキシードのように夜の場合は、蝶貝か黒いオニキスのものを使いましょう。
カフリンクスは、カフ(袖)のリンクス(つなぐもの)という意味で、袖をつなぎとめる役割を持っています。袖先を留めることで、袖口の装飾になり、汚れを防ぐ仕様でもあります。
シャツはウイングカラーで魅せる
タキシード用のシャツで一般的な襟は『ウイングカラー』です。台襟は衿を立てたように立っていて、衿先が小さく三角形に折れています。それが翼のようなのでウィングカラーと呼ばれています。
ウィングカラーとレギュラーカラーは、どちらも正式なフォーマルスタイルです。しかし、レギュラーカラーよりも襟が立ち上がって肌の露出を抑えている分、ウィングカラーの方がフォーマル性は高いとされています。
デザイン的にも日常ではあまり目にしないため、より特別感のあるフォーマルな装いとして、魅せることができます。
蝶ネクタイとスタッドボタンで格式高く
タキシード用のドレスシャツには、黒の無地かを合わせます。さらに、胸元の第2~4ボタンにスタッド・ボタンという飾り留め具をつけます。それが正式のVゾーンであり、格式がより高くなるのです。
比翼仕立て(隠しボタンの仕様)のウィングカラーのシャツは、ボタンそのものを見えなくしていますが、根本的な意味合いはどちらも同じで、シャツのカフスのボタン同様に下着のボタンを見せないように配慮されています。
イギリスの元国王、エドワード8世(ウィンザー公爵)の夫人であり、『世紀の駆け落ち』のお相手であるシンプソン夫人は、カルティエ・ロンドン店で、宝石を使ったカフリンクスとスタッズボタンなどを購入して、エドワード8世に贈ったエピソードがあります。
シャツはレンタルか購入どっちがお得?
ウィングカラーのドレスシャツは、タキシードと抱き合わせでレンタルする人もいれば、自分で購入するひともいます。これは一体どちらがお得なのでしょうか?
レンタルのメリット、デメリット
レンタルのメリットは、手間が掛からないということが最大の特徴でしょう。レンタルを扱っている業者にお願いをしするだけです。価格も一定の水準で済みます。
しかし、デメリットもあります。レンタルだと、首回り・胴回り・裄丈など自身にピッタリのサイズがない可能性が高いでしょう。その場合、補正はできないので、少々合わないものであっても、妥協して着るしかありません。
あるいはサイズが合っていても、ただ1回の使用にレンタル料を払うこと自体勿体ないと感じる人も当然います。
利用頻度が多いなら購入がお得
オーダーメイドすれば、サイズはバッチリ合います。そして何より自分のものですから何度でも使えます。
また、価格的には、よほど上質な素材・仕様にこだわらない限りは、さほど大きな差はありません。場合によっては、オーダーメイドの方が安い可能性もあります。
複数回使う可能性があるならば、長い目で見たときにオーダーの方が安くなり、満足度は高いと言えるでしょう。
まとめ
タキシードに合わせるドレスシャツの基本情報を、その周辺情報と合わせて紹介しました。
さまざまな意味合いがあるスタイルなので、できるだけ正式なスタイリングで臨みたいものです。
レンタルかオーダーメイドにするのかも、ぜひ紹介したポイントから検討してください。納得いく方法でタキシードのシャツを用意しましょう。
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