結婚式に招待されてタキシードを着る場合の、着こなし方やルール、マナーなど、わからないひとも多いでしょう。招待者として恥をかかないためにも、タキシードの背景や、結婚式での着こなし方の基本から周辺情報を紹介します。
この記事の目次
これだけある、結婚式のフォーマルウェア
礼装の種類はいろいろありますが、なぜ種類があるのでしょうか。それは、『格』の区別があるからです。充分認識している人は少ないかもしれませんが、実は礼装にはそれぞれ格があり、状況に応じて着用を変える必要がります。
格を整理して、順番に挙げてみます。
- 正礼装:モーニングコート(昼間の慶事・弔事)燕尾服/テイルコート(夜間の慶事)
- 準礼装:ディレクターズスーツ(昼間の慶事・弔事)とタキシード(夜間の慶事)
- 略礼装:ブラックスーツ・ダークスーツ(慶事・弔事全般)
このように、格が大まかに3段階に分けられます。もう1つの決まりが『時間帯』です。モーニングコートは午前~17時から18時ごろまでの『昼間に着る正礼装』です。タキシードは、夕方~夜にかけての『夜間に着る準礼装』です。
昼の正礼装モーニングコート
『モーニングコート』は昼間に身につける最上級の礼装です。ジャケットのベストとコールパンツの3つでワンセットです。コールパンツはモーニングコールとよばれるストライプ柄のパンツです。
このモーニングが正礼装であり、これを少し簡略化した準礼装が『ディレクターズスーツ』です。見比べれば似ているのがわかるでしょう。
『ディレクターズスーツ』と呼ばれる理由は、オーケストラの『指揮者』が正装を少し動きやすくし簡略化した装いとして用いたからと言われています。
夜の正礼装テールコート
夜間の式典や夜会に着用する最上級の正装がテールコート、すなわち燕尾服です。しかし、20世紀に入ってから着用されることが減っていきました。現在では、欧米などでよほど格式を重んじた国家的な式典以外では、ほとんど見られなくなりました。
そして、それに変わって着用される機会が増えたのが、夜間の準礼装である『タキシード』です。次項で詳しく見ていきましょう。
準礼装タキシード
燕尾服の代用として持ちられた、夜間の準礼装であるタキシードは、燕尾服が着られなくなった近年、ほとんど正礼装に近い位置付けになっています。事実タキシードを正礼装と思っている人も多いようです。
欧米での式典やパーティの招待状で『ブラックタイ』で参加・参列する旨が書かれている場合があります。これは「タキシードを着てお越しください」という意味になります。単に「黒いネクタイを締めて来てください」という意味ではありませんので注意しましょう。
ブラックタイはより厳密にいうと、黒のタキシードクロスを使用したタキシードを着て、黒のシルクの蝶ネクタイと同じくカマーバンドを締めたスタイルが定義通りの着こなしとなります。
まずは知っておきたいタキシードの基本
スーツとタキシードとはどう違うのかを知ることが、タキシードを理解することになるといえます。タキシードの基本を紹介しましょう。
スーツと異なる生地や素材
タキシードはスーツと違って、タキシードクロスと呼ばれる、黒の上質生地を使います。黒であればなんでもよいわけではありません。
上下が同じ素材(タキシードクロス)で作られますが、ジャケットの襟はシルクなどの光沢のある生地で覆われ『拝衿(はいけん)』と呼ばれます。また、パンツの側には『側章』と呼ばれる黒いシルクのテーピングがなされます。
そして拝衿に使用されたシルクと同じ素材で作られた、お腹周りに着用するカマーバンド、あるいは上衣と同素材のベストが組み合わされます。
タキシードは黒あるいは濃紺が基本色ですが、色物やデザインがアレンジされたファンシータキシードやファンシースーツと呼ばれるものもあります。
現在は昼での着用もOK
本来はタキシードは燕尾服・テールコートに準ずるものなので、夜間に着用されるものです。17時から18時ぐらいを境にして、夜半に着ることがルールなのです。
しかし時代の流れとともに、その辺が少し緩やかになっています。昼間の着用時にも、つまり本来モーニングコートを着るシチュエーションでも、タキシードを着用するケースが増えてきており、違和感が減ってきました。
つまり、タキシードが正装として使えるシチュエーションはかなり増えて、礼装としての汎用性が非常に高くなってきました。
タキシードに必要な小物
タキシード用には色々な小物が必要です。どれかがひとつ欠けても、スタイルとしては不完全になるので、準備を怠ってはいけません。必要アイテムは以下の通りです。
- ウイングカラーの白のドレスシャツ
- 蝶ネクタイ
- カマーバンドあるいはカマーべスト
- スタッドボタン
- カフリンクス
- ポケットチーフ
- 黒のオペラパンプス
新郎が着るタキシードの色は?
結婚式の新郎が着るタキシードの色には、正解があるのでしょうか?実際は白も黒も見ることがあります。それ以外のカラータキシードも最近では増えてきました。その辺りの事情を解説します。
王道と言えばやはり白
結婚式の新郎が着る白のタキシードは、隣に並ぶ花嫁の純白のウェディングドレスと合わせた色選びです。両名の白で合わせたコーディネートは、見ていて清々しいですね。実際に、新郎が白のタキシードを選ぶ場合が非常に多いと言われます。
余談ですが、避暑地のパーティやクルージング中の船上パーティなども、春から夏にかけては爽やかな色目である白のタキシードが似合います。晴れやかな場の華やいだ着こなしとして、印象もよいでしょう。
また、黒白以外の色物も存在します。よくあるのはシャンパンゴールド・シルバー・ブラウン・ボルドー・ネイビーなどです。着用するシチュエーションによっては、色物も許容されています。
正統派で行くなら黒
礼装は、欧州の長い服の歴史をきちんと背負って進化してきました。細かいディテールにもそれぞれ理由があり、服の歴史が感じられます。
セオリーからいうと礼装の色目は黒が正統です。礼服と呼ばれるものは全て黒が基本と言えるでしょう。当然タキシードも基本色は黒になります。
『ブラックタイ』と呼ばれる、黒タキシードに黒の蝶ネクタイ、カマーバンド、黒のオペラパンプスという正統かつ典型的な出で立ちは、式典やパーティの招待状で、来場スタイルとして指定するぐらいなのです。
カラードレスとも合わせやすいシルバー
花嫁がカラードレスを着用している場合、色のコーディネートとしては2通り考えられるでしょう。まずは花嫁のドレスと同じもしくは同系色のタキシードです。
もうひとつはシルバーのタキシードです。シルバーは華やかな色を邪魔せずにその場で違和感なく、さらには横の色を引き立てます。フォーマル感もよくあり、そういう意味ではタキシードとしての汎用性は高いと言えるでしょう。
タキシード選びのポイント
タキシードの購入など滅多にないので、どこをどう見極めるかわからない人も多いでしょう。ポイントを紹介しておきます。
サイズを自分にフィットさせること
根本的なサイズフィットが大事です。まずジャケットは肩幅・胸幅・胴幅のフィット具合や袖丈・着丈をきちんと適切なサイズに合わせて試着しましょう。
肩幅はジャスト、胸幅や胴幅はたるまない、かといってきつくてシワがいったりもしない、ほどよいゆとり寸法が必要です。
袖丈は腕を下ろした状態でシャツのカフスが1cmほど見えればOKです。着丈はヒップがきっちり隠れれば、それ以上長い必要はありません。
パンツはウエストはアジャスターかサスペンダー(吊りバンド)で合わせるのでジャストより少し大きいぐらいが適度です。丈は、前がワンクッションで、後ろはそれより1cm長めのモーニングカットにすれば安心です。
女性の衣装と場所柄に合わせる
花嫁衣装の色やデザインに見合う、相応しいタキシードを選ぶ必要があります。2人でよく相談し、打ち合わせしながら決めるのが賢明でしょう。
また、会場やチャペルなどの場所の雰囲気をよく考えて、違和感のないものを選ばなくてはなりません。会場のスタッフなどの意見も聞き入れながら、相応しいものを選びましょう。
新郎の同僚や友人が着る場合のフォーマルウェアは?
新郎の同僚や友人の場合、どのようなフォーマルウェアが望ましいのでしょうか?また、タキシードの着用についても確認しておきましょう。
式場や立場によって異なる
式場や場所柄によって変わってきますが、基本はブラックタイのスタイルと考えれば間違いないでしょう。
そのうえで、遊び心が許される場であれば、小物をカラー素材のものを選んでみることや、カラータキシードを選ぶなどの判断になります。
あくまでも、参列する友人や同僚として許容範囲をわきまえた選択をしましょう。そうでなければ、新郎新婦や親戚に礼を失することになりかねません。
基本は黒系
前述のように、ブラックタイスタイル、つまり黒タキシードに黒無地の蝶ネクタイ、カマーバンドの装いなら、いかなるケースでも失敗はありません。
テールコート、燕尾服に通じるスタイルである自信を持って、セオリーに沿った着こなしを堂々としていきましょう。黒のフォーマルウェアでも、選ぶネクタイによって雰囲気が変わることもあるので、店員に相談して見るのもいいでしょう。
その他気をつけたいマナー
気をつけたいマナーとしては、例えばカマーバンドのひだがちゃんと上を向いているのかを鏡でチェックしたりしましょう。
靴に間違って靴墨をつけて磨いていませんか?タキシードのパンツの裾のダブル仕上げもNGです。ポケットチーフは必ず胸に挿しましょう。
注意すべきNG項目をまとめて一覧にしました。
- シャツが普通のビジネスシャツでカフスもシングル
- アクセサリーをつけている
- ポケットチーフを指していない
- ウィングチップやローファーを履いている
- カマーバンドをしていない
- カマーバンドのひだが下向き
- パンツの裾がダブル仕上げ
- スポーツウォッチをはめている
- トレンチコートを着用する(トレンチは軍用・チェスターコートが正解)
以上が忘れがちなNGの項目です。覚えておきましょう。
親族が着るフォーマルウェアは?
親族はどういうスタイルの礼装を着用すればよいのでしょうか?父母、兄弟、親戚のいとこや叔父など、立場がそれぞれ違いますが、その辺りの考え方の基本を知っておきましょう。
父親の場合
新郎や新婦の父親に関してはモーニングコートが相応しいです。間違ってブラックスーツなどで登場すると、ゲストよりも格下の装いになってしまい、大変違和感があり礼を失していることになります。
厳密に夜間式典であればテールコートになります。しかし昨今は、そんな場合も含めてモーニングコートでカバーしているほうが多いでしょう。
兄弟の場合
新郎新婦の兄弟はどのような礼装が望ましいでしょうか?これは年齢により2通りの考え方があります。
20〜30代の若い世代であれば、ブラックスーツで問題ないでしょう。しかし40代以上になれば、格式を意識してディレクターズスーツかブラックタイスタイルのタキシードが最適です。
ともあれ、いずれの年齢であっても、王道のブラックタイであれば間違いはありません。
親戚関係の場合
親戚の場合も、広い意味でのファミリーなので、一般の参列者以上に格式に気をつけたいものです。
具体的には兄弟の場合に準じた考え方でよいでしょう。若い世代はブラックスーツ、年配ならタキシードかディレクターズスーツ、もしくは年齢に関係なくブラックタイスタイルという基本的な考え方で問題ありません。
タキシードの手配の方法
タキシードを手配、入手する方法にはどのようなものがあるのでしょうか?いざというときに慌てないように、紹介しておきましょう。
リーズナブルなレンタル
手頃に、気軽に着用できるならレンタルがよいでしょう。料金もグレードをこだわらなければさほど高くつきません。
デザインやサイズも選べるので、信頼できる業者を選んで任せれば失敗はないでしょう。ただし新品感やお洒落などのこだわりはできませんので、その点は承知しておきましょう。
インターネットでのレンタルの相場は3万円~5万円と比較的リーズナブルです。店舗に行かずに、手軽に借りれるというのはメリットと言えるでしょう。
ただし、式場で借りる場合にも言えますが、実際に着てみないとサイズが合っているかどうかはわからないというリスクがあります。他にも不安要素がありますので、次項で詳しく述べることにします。
いずれにしてもインターネットレンタルでは、サイズが完璧ということはまずないでしょう。店舗に既製品を買いに行っても、補正なしで完璧に合うことなどは滅多にありませんので、一度レンタルで試してみて、その後またの機会には、購入を検討してみてもいいのではないでしょうか。
こだわり派にはオーダーメイド
こだわる人にはオーダーメイドで仕立てることをおすすめします。費用はそれなりに掛かりますが、体型や個性に合うタキシードが、借り物ではなく自分の者として長く愛用できます。後悔しないようにデザインや素材、色をよく考えて選択しましょう。
オーダーでタキシードを仕立てるメリットは、自分にピッタリとあったサイズに仕上がるということです。既製品を買う場合や、レンタルなどではそうもいきません。
サイズ的にはそこそこ合っていても、そのひとの体型による見た目の不自然さが出ることがあります。一例では背中のツキじわで、前身頃のタスキじわなどでしょう。
オーダであれば、それを体型補正により修正や緩和ができます。身体に合っていると着心地も快適です。特にタキシードのように、それ自体が堅苦しいフォーマルな場で着用するものには、快適なさも重要なポイントになるでしょう。
時間がない人には既製品購入
時間がない人にとっては、既製品を購入するという選択肢があります。ある程度上質なものが、スーツよりも少し高価な値段で手に入り、一度購入すればしばらく着られるので、リーズナブルに感じます。
既製品の良いところは、直しを入れても日にちがさほどかからないことです。裾直しや、もし腰回りや袖丈の直しが入っても、7〜10日ほどで出来上がるでしょう。
また、出来上がったものを試着して買うので、受け取ってからイメージの違いに驚くこともないでしょう。
ただ既製品は、やはり万人受けを意識して作られているので、個性に乏しいことがあります。上質でも、こだわりを持つ製品を選ぶのは難しいかもしれません。
まとめ
結婚式に招待されてタキシードを着る場合の着こなし方やルール、マナーなどを紹介しました。
礼装は歴史的背景があり、セオリーやルールを持つ装いです。基本的な考え方をしっかり理解した上で着用すれば、恥ずかしがる必要はありません。結婚式に呼ばれたら、お洒落にエレガントに、堂々とタキシードを着こなしましょう。
新しいオーダータキシードの世界を叶える、Re.museとは
タキシードのイメージ、それは多くの人にとってブラックスーツではないでしょうか。 正統派ブラックフォーマルは勿論、Re.museが考えるタキシードは、着る人の個性と自由が表現された、あなただから着こなせる一着であることがマスト。TUXEDO & ENGAGEMENT SUIT 着脱式タキシード
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