着る機会が少ないタキシードを着るということは、間違いなく華やかな場に臨む時でしょう。大人として、マナーとルールを守って着こなさなければ、せっかくキメたタキシードスタイルが無駄になります。失敗せず、恥もかかないように、基本知識を解説します。
まずは知っておきたいタキシードの基本
タキシードの本来の位置付けをご存知でしょうか?洋服にはさまざまなセオリーやルールがあります。その中での、タキシードの意味合いを理解すれば、着こなし方も理わかりやすいはずです。まずは、タキシードの基本を見ていきましょう。
タキシードは夜の準礼装
タキシードの役割は、本来は燕尾服を着る夜会などのシーンの準礼装です。スーツとは生地も違いますし、細かいルールがあります。
たとえばスーツにはレギュラータイを合わせるのが基本ですが、タキシードは蝶ネクタイを合わせるのが基本です。黒無地タキシードに黒無地の蝶ネクタイ、同じく黒無地のカマーバンド、黒エナメルのオペラパンプスという基本スタイルを特に『ブラックタイ』と呼びます。
タキシードは『タキシードクロス』という生地で作られますが、ジャケットの襟にはシルクなどの光沢のある生地の『拝絹(はいけん)』と呼ばれる部位があります。
基本は白黒、シーンに応じてアレンジOK
何といっても基本中の基本は『白』と『黒』です。結婚式の新郎の場合、隣の新婦が白いドレスを着ることが多いため、新郎も白のタキシードで合わせるケースが非常に多いです。実際に白のタキシードは人気があります。
反対に、黒のタキシードを着ても、新郎新婦で白黒と並び、それぞれ存在感がでるでしょう。
シーンに合わせてアレンジするのも選択肢の一つです。シックな雰囲気の場所ではおちついた色目、華やかな場所であれば、華やぎのあるシャンパンゴールドやシルバー、ブラウンやボルドーなどが人気があります。
フォーマルに着こなすタキシードの特徴
本来の用途通りに夜会などの正装として、フォーマルにタキシードを着こなすには、どうすれば良いのでしょうか。そのためにはまず、タキシードの特徴を知っておきましょう。
白と黒でコーディネートする
結婚式の新郎やカジュアルなパーティで着るタキシードは色物でもOKですが、本来はモノトーンの黒もしくは白がタキシードの基本です。
コーディネートも白と黒の2色で統一するのが、セオリー上もっともフォーマルであり、見ためのもその方がカッコいいと考える人も多いようです。
ただし、白のタキシードならすべて白づくしのオールホワイトも良いでしょうし、拝絹(はいけん)とカマーバンンドと蝶ネクタイが黒でツートンになるスタイルも粋に見えます。
タキシードジャケットの特徴
タキシードのジャケットは、一見するとスーツと似ていますが、実際に駒買う見てみると大きく異なることが分かります。部位ごとに解説しましょう。
襟の部分がスーツは『ノッチラペル』が一般的ですが、タキシードはショールカラー(ヘチマ襟)かピークトラペル(剣先襟)が基本です。その部分はスーツのように身頃と同素材ではなく、シルクで飾られます。これを『拝絹(はいけん)』と呼びます。
腰ポケットの『フラップ(雨蓋)』もありません。そしてフロントのボタンは1個で、しかも『拝み』と呼ばれる、クルミボタンが左右に顔を出す留め方になります。
さらに、タキシードは『ノーベント』なのです。つまり、スーツにあるような背中の下方のベント(スリット)はありません。
その他の小物の特徴
小物に関してはレギュラータイではなく蝶ネクタイであり、同素材のカマーバンドを身に着けます。
シャツは、立ち襟で先端が三角形に折れていて、鳥の羽根のようなデザインの『ウィングカラー』で、袖口がダブルカフスになっており、カフリンクスで留めます。胸に細いプリーツが何本も入ったものと、そうでないものがありますが、両方とも問題ありません。
靴はエナメルのオペラパンプスか、エナメルシューズのストレートチップを合わせます。オペラパンプスの方がフォーマル度が高いので、そちらを選べば間違いはありません。
タキシードの着こなしポイント
タキシードを着用する機会はあなり多くはないかもしれませんが、どうせ着るならしっかりとキメたいものでしょう。着こなしのポイントを挙げていきますので、ぜひ参考にしてください。
アクセサリ、ベルトは着用しない
タキシードの場合、パンツのベルトは着用しません。パンツは両脇のDカンなどのアジャスターで調節するか、サスペンダー(吊りバンド)で着こなします。
また、いわゆるアクセサリー類は身につけません。ネックレス、ブレスレットなどを一切身につけずに、あくまでシックにクールに着こなすアイテムこそがタキシードなのです。
ベストを着用するならカマーバンドは不要
タキシードのジャケットと同素材のベストを着用する場合は、カマーバンドは必要ありません。
カマーバンドの本来の役割が、そもそも下着であるシャツを見せないためにウエスト部分を隠すアイテムであり、ベストもおなじく『ウエストコート』という正式名が意味する通り、ウエスト部分を覆い隠す役割があります。実は、身につける目的が同じなのです。
小物も黒で統一、格式高いお洒落を
黒タキシードに、白のウィングカラーシャツ、黒無地の蝶ネクタイ、その同素材のカマーバンド、黒エナメルのオペラパンプス、白のポケットチーフ、白の手袋のように白と黒だけで構成するのが王道のコーディネートです。
白シャツ以外のすべてのアイテムが黒であり、それこそが格式高い装いとなります揺るぎない歴史を持ったお洒落な着こなしなのです。
タキシードの正しい着用方法
タキシードには正しい着用方法のルールがあります。それを違えるとルール違反、ひいては会の主催側に対する失礼にあたるので、きちっと押さえておかなければなりません。
シャツとネクタイの着方
シャツはウイングカラーなので、襟が立ち襟タイプです。その外側に蝶ネクタイのバンド部分を回して、襟の後ろにあるループに通してから前で合わせましょう。
結び目(蝶々結びの形になっている部分)がしっかり襟の打ち合わせに触れるまで締め上げて置かないとだらしないので、注意しましょう。
パンツとサスペンダーの着方
タキシードのパンツはベルトをしません。アジャスターかDカンがついているので、それで締めるか、セオリー上はサスペンダーで吊るのがもっともよい着方です。
サスペンダーは挟んで留めるタイプと、パンツの内側にサスペンダー釦をつけて、それに留めるタイプとがあります。ちなみに釦タイプのほうが、若干格が上です。
その他のアイテムの身に着け方
カマーバンドにはひだがありますが、正しい向きがあります。上向き、つまりひだに指が突っ込める向きが正解です。
また、シャツはダブルカフスなのでカフリンクス(カフス釦)で留めます。カフスの素材は黒蝶貝かオニキスが基本です。シャツの袖が長すぎる場合は『アームガーター(アームバンド)』で適度な長さに調節しましょう。
ポケットチーフは『パフドクラッシュ』、つまり真ん中をつまんで二つ折りにしてふわっと胸ポケットに突っ込む方法で入れましょう。
まとめ
タキシードを着る時に失敗しないための基本情報を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
色々細かくうるさいルールがありますが、それをクリアしてこその大人のエレガンスが表現できるのです。基本をしっかりと押さえた上で大人のタキシードスタイルを、精一杯楽しみましょう。
新しいオーダータキシードの世界を叶える、Re.museとは
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