誰しも、非常に気を使うフォーマルシーンでの着こなしで失敗したくはありません。しかしながら、着慣れないタキシードを着用するときに履く靴には、どのような決まりがあるのでしょうか?大事なフォーマルの場面で、失敗しない靴選びの方法を解説します。
フォーマルシューズの基本
「フォーマルシーンにどのようなシューズを履いたらよいのか悩む」という声をしばしば聞きます。フォーマルには必ずセオリーがあるので、それを理解すれば悩むことはなくなるでしょう。基本的なセオリーを解説しましょう。
オペラパンプス
『オペラパンプス』という名称の通り、オペラの観劇や音楽会、舞踏会、晩餐会などの夜会用に着用される靴です。リボン飾りと光沢のあるエナメル素材で、柔らかな曲線は一見するとレディースのようですが、タキシード着用時のもっともフォーマルなルームシューズです。
映画やドラマなどで目にしたことがあるかもしれません。このシューズは底が薄く、屋外で履くことを想定していません。フォーマル性はもっとも高い部類です。
価格は意外と安く、国内メーカーなら2万円台から取り揃えています。靴としては最高峰ブランドの『ジョンロブ』でも10万円程度です。『クロケット&ジョーンズ』で5万円程度で購入できます。
履く機会がタキシード着用時しかないので、だからこそ、その機会にはぜひ履いて欲しいアイテムでもあります。
エナメルシューズ
ウェディングなどでの正装で履くのに、現代ではオペラパンプスよりもエナメルシューズが主流です。
オペラパンプスほどの制約はなく、デザインも『内羽根のプレーントゥ』か『ストレートチップ』なので、一般的なビジネスシューズと近い印象です。その中でも『ストレートチップ』はフォーマル性が最上級です。
夜会でエナメルシューズを履く理由は、社交ダンスを踊るときに男性が女性のロングドレスを靴墨で汚してしまうことを避けるためという、女性に対する気配りから生まれたセオリーです。また光沢があるので、夜のフォーマルシーンでもドレッシーですね。価格もオペラパンプス同様に意外と安めです。
場所や時間帯によって履き分ける
ではオペラパンプスとエナメルシューズは、どうやって履き分けるのでしょう?それは時間帯です。欧米のeveningとnightの境目である17時から18時がそれに当たります。それより前ではエナメルシューズが適切で、それより後はオペラパンプスが適切です。
あくまでそれを基本とした上で、例外もあります。まず大前提としては、格式が高いのでオペラパンプスはいかなる場合でもOKです。エナメルシューズの方が、時と場合によってはNGの場合があります。
カジュアルウェディングの場合は、タキシードは着用してもオペラパンプスは(NGではないにしても)フォーマル過ぎます。あえてエナメルシューズでストレートチップを履くほうが、バランスがよい場合もあるでしょう。
靴のデザインの選び方
靴のデザインタイプは、どういう風に選び分けるとよいのでしょうか。セオリーを知った上でこそ、応用を利かせて実際に合わせられるものです。基本セオリーを確認しましょう。
内羽根と外羽根
紐靴には『内羽根式』と『外羽根式』があります。内羽根式とは紐を通す羽根の部分が、甲革の内側に入り込んで一体化しているタイプです。見た目が上品でエレガントであり、フォーマル性も高くなります。
ヴィクトリア女王の夫であるアルバート公がスコットランドのバルモラル城で考案したので『バルモラル』と呼ばれます。
外羽根式は甲革の上に羽根が縫い付けられているタイプです。元々はプロシヤ軍の元帥が考案し、ワーテルローの戦いで使用されて広まったという説が有力です。
スポーティな印象であり、競馬の開閉するゲートに似ているので『ダービー』と呼ばれたり、考案者の名前から『ブルーチャー』とも呼ばれます。
ストレートチップとプレーントゥ
ストレートチップとは甲の部分に『一文字飾り』のある靴のデザインです。内羽根式のストレートチップは、紐靴としては最上級のフォーマル性があります。
ちなみにこれと似たもので、一文字飾りにパンチングがほどこされたものがありますが、あれはスチレートチップではなく『パンチドキャップトゥ』というタイプです。
プレーントゥは何も飾りがない、つるっとしたデザインです。内羽根のプレーントゥは、内羽根のストレートチップの次にフォーマル性が高い靴です。
プレーントゥの外羽根タイプはフォーマルでありながら実用的なので、おそらくビジネスシューズとして、過去に履かれた数たるや、トップクラスでしょう。
ウイングチップやUチップはNG
ウイングチップやUチップは、フォーマルの場においては相応しくありません。なぜならウイングチップはカントリー系ですし、Uチップもスポーティであり、どちらも広い意味でカジュアルテイストです。
そのため、礼装で履くにはどちらも違和感があります。そういう選択は極力避けるのが賢明です。時折礼装にウインチップを履いている人を見かけることがありますが、いくらダンディに決めていても見る人がいれば残念なスタイルに陥っているのです。
タキシードに合う色
タキシードの色は基本は黒ですが、それ以外の色も最近ではよく見受けます。その場合のシューズの色はどう考えるべきでしょうか?
カラーは黒が基本
フォーマルシーンで履く靴のカラーは、原則的に黒です。タキシード自体に使用される色はおおむね黒・シルバー・ネイビー系であり、いずれも黒が合いますので、迷わず黒を選びましょう。
ブラウン系はカジュアルな色という印象があるので、たとえオシャレであっても、フォーマルシーンで履かないようにしましょう。
タキシードに合えば白もOK
前述のように、フォーマルシーンで履く靴は基本的に黒ですが、例えば新郎が全身白のタキシードというケースもあります。
その場合は、そのスタイルに合わせるために白の靴が最適です。あくまで例外としてそういうケースもあるので、現代のウェディングでは、場合によって白の靴もOKと考えてもよいでしょう。
結婚式で新郎が履かない方がいい靴
結婚式の場で、新郎が履くべきではないNGな靴があります。これは知っておかないといけません。代表的なNG靴を紹介します。
ローファー
新郎はローファー靴を履いてよいのでしょうか?答えはNGです。『ローファー(loafer)』とはもともとなまけ者の意味があり、紐なしで楽に着脱できるモカシン系のスリッポンを指します。
ローファーはあくまでもカジュアルシューズであり、フォーマルシーンはもとより、ビジネスシーンにもスーツ着用時にはNGです。ジャケットとパンツが違う『ジャケパンスタイル』でよい職場や、クールビズ期にはOKでしょう。
ポインテッドトゥや模様があるもの
ポインテッドトゥとは先の尖ったタイプの靴です。ホスト系やお兄系ファッションのアイテムで、カジュアル度が高く、当然、新郎が結婚式に履くのにはNGです。
模様があるものはパンチング、メダリオン、ブローグ系のものですが、これもカントリーやアウトドアなどのスポーティなテイストになるので、フォーマルシーンでは着用しないことを心掛けましょう。
まとめ
タキシード着用時を含むフォーマルシーンでの靴のセレクトに関して、基本情報やセオリーを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
フォーマルシーンは礼節や礼儀を重んじます。また、礼装はこれまでの洋服の歴史を背負っているので、ルールやセオリーは重要です。
ルールさえ知っておけば、急なフォーマルシーンでも慌てずに素敵な着こなしができます。基本セオリーを理解して、フォーマルシーンでさえも楽しんで臨みましょう。
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